【建築とミリ】なぜ私たちはミリで語るのか?

こんにちは!創拓スタッフです!

「マイホームを建てたい」「リノベーションで理想の空間にしたい」──そんな夢を抱いて、初めて建築士とお話しするお客様から、よくこんな声を聞きます。
「図面って、全部ミリ単位で書いてあるんですね!?」
そうなんです。私たち建築の世界では、寸法を表すとき、ほぼミリメートル(mm)しか使いません。
普段の生活ではあまり馴染みのない「ミリ」ですが、なぜ私たちはこれほどまでに「ミリ」にこだわるのでしょうか?
今日は、その秘密を皆さんに、ちょっと面白い視点でお話ししたいと思います。

1センチのズレが命取り!? 建築の「神は細部に宿る」世界!

皆さんの身長や、家具の長さを測るとき、普段は「センチメートル(cm)」を使いますよね。
学校の定規も、洋服のサイズも、ほとんどがセンチ表記です。
それなのに、なぜ建築の世界では「ミリ」なのでしょうか?
実は、建築の世界では、たった1センチのズレが、とんでもないトラブルにつながることがあるんです。
想像してみてください。
ドアが枠に引っかかって、いつも開け閉めしにくい…
 窓と壁の間に隙間ができて、すきま風がビュービュー…
楽しみにしていた大きなソファが、置きたい場所に収まらない!
タイルとタイルの間に不自然な隙間ができて、見た目がなんだか残念…
これら全て、たった1センチのズレが引き起こすかもしれない「困った!」の例です。
でも、これが1ミリのズレだったらどうでしょう? もちろん、ゼロが良いに越したことはありませんが、1ミリ程度のズレであれば、微調整でどうにかなったり、ほとんど気にならない範囲で収まることがほとんどです。
まさに、建築の世界は「神は細部に宿る」という言葉がぴったり。
小さなズレが積み重なると、見た目の美しさが損なわれるだけでなく、建物の性能や安全性にも影響が出てしまうんです。
だからこそ、私たちはミリ単位の精度にこだわります。

暗号じゃない!「ミリ」はみんなの共通言語
家づくりには、建築士だけでなく、大工さん、電気屋さん、水道屋さん、左官屋さん、そしてキッチンや家具を作る職人さんなど、たくさんのプロフェッショナルが関わります。
まるで、ひとつの大きなオーケストラが、それぞれの楽器を演奏して、美しいハーモニーを奏でるようなものです。
このオーケストラが息ぴったりに演奏するためには、全員が同じ楽譜を見ている必要がありますよね?
建築図面が、その「楽譜」にあたります。
もし、この楽譜の寸法が「2メートル34センチ5ミリ」といった複雑な書き方だったらどうでしょう?
「えーっと、34センチの次は5ミリで…」と、みんなが頭の中で変換しながら作業することになり、きっと混乱してしまいます。 そこで登場するのが、「2345mm」というミリ表記です。
たったこれだけで、誰が見ても「ああ、2メートル34センチ5ミリのことね!」と一瞬で理解できます。 
伝達ミスが激減!: 「あれ? ここって何センチだっけ?」なんて聞き返す手間も省け、スムーズに作業が進みます。 
計算もサクサク!: 材料の長さを計算したり、スペースの大きさを確認したりする際も、ミリなら小数点以下の複雑な計算に悩まされず、ミスも少なくなります。
つまり、「ミリ」は、家づくりに関わるすべての人が、迷わず、正確に作業を進めるための最強の共通言語なんです。

世界とつながる「ミリ」の基準
実は、日本だけでなく、世界の多くの国々で、建築の寸法単位はミリメートルが主流です。これは、国際的なプロジェクトを進める際や、海外から輸入する建材や設備を使う際に、国境を越えてスムーズにやり取りできるようにするためなんです。 日本でも、工業製品や建築物の寸法に関する「JIS規格(日本産業規格)」というルールブックがあり、建築図面ではミリメートルを使うことが決められています。世界でも「ISO規格(国際標準化機構)」という共通のルールがあり、そこでもミリメートルが推奨されているんですよ。 こうして、私たちは「ミリ」という共通の基準を持つことで、国を越えても「言葉の壁」なく、高品質な建物を造り上げることができるのです。

ミリは、あなたの夢を「カタチ」にする魔法の数字
「ミリ」という単位は、普段の生活ではあまり意識しないかもしれません。しかし、私たち建築士が図面をミリ単位で描き、細部にまでこだわるのは、お客様の「こんな家にしたい!」という夢を、限りなく正確に、そして安全に「カタチ」にしたいという強い思いがあるからです。 ミリは、単なる数字の羅列ではありません。それは、建物の品質を守り、安全性を高め、そしてあなたの理想の住まいを細部にわたって実現するための、言わば「安心」と「正確さ」、そして「信頼」の証なのです。 

【参考文献】 * 日本産業標準調査会 (JISC) 公式ウェブサイト * JIS Z 8317-2 製図-尺度-第2部:製図に用いる尺度,図面及び書類における表示 * JIS A 0101 建築製図総則 * ISO (International Organization for Standardization) 公式ウェブサイト * ISO 128シリーズ (Technical product documentation — General principles of presentation)
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